昨年後半から、マスコミの報道に「混合介護」の文字が目立つようになった。この混合介護という言葉には、2つの意味がある。
一つは介護保険サービスと保険外サービスの両方を違う時間に利用すること。既に認められている一般的な意味だ。もう一つは、同時間帯に介護保険内と保険外の2つのサービスを同時に提供すること。こちらは現制度下では禁止されている。そして、昨年後半から盛んに取りざたされている混合介護は、後者を指す。
既に、同じ時間に保険内外のサービスを提供するための取り組みに名乗りを上げた自治体もある。ほかでもない首都・東京だ。
東京は、特区制度を利用し、導入実験を豊島区で実施する方針だ。2017年度から実際の運営の検討準備が始まり、18年度からスタートする予定という。さらに19年からは、同時提供による混合介護が、部分的ながらも、特区以外でも解禁される可能性もある。
■口火を切ったのは公取の報告書
ここに来て、同時提供による混合介護が一気に現実味を帯び始めた感があるが、その口火を切ったのは、昨年9月5日に公正取引委員会が公表した「介護分野に関する調査報告書」だ。以降、政府の規制改革推進会議などで、混合介護に関する議論が急激に進んだ。広い意味では、介護保険事業所が障害福祉サービスを併設して一体提供する共生型サービスが、18年度介護保険制度改正で創設されるのも、その流れの一環といえる。
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