少子高齢化に伴う患者数の減少は、特に地方の病院経営に暗い影を落とす。日本病院団体協議会の議長で、社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院(石川県七尾市)の神野正博理事長は「これからの時代、単なるフレンドシップ(友好関係)ではなく、パートナーシップ以上の関係をつくらなければならない」と話し、周辺の企業なども巻き込んだ「地域ドミナント戦略」の必要性を強調する。【敦賀陽平】
特にIT(情報技術)の活用に力を入れ、グループ内の施設を利用すると、患者や利用者に「1ID」が与えられる。例えば、急性期病院の入院患者が、グループ内の介護・福祉サービスへ移行すると、その情報は電子カルテを通じてグループ全体で共有される。
2000年には、病院内に日本初となるコールセンターを開設。患者や家族からの相談窓口を一本化し、医療と介護の両方にかかわる問い合わせへの対応や、グループ内の全サービスの予約を電話一本で行えるようにした。こうした取り組みが評価され、昨年6月には、サービス産業生産性協議会が主催する「日本サービス大賞」で総務大臣賞に輝いている。
■生活支援企業とのアライアンスも
今後の人口減少社会で、どうすればベッドを埋めることができるのか―。業界のトップランナーの一人として走り続ける神野理事長は、地域の医療機関との関係を深化させ、周辺の企業も巻き込んだ「地域ドミナント戦略」の必要性を指摘する。
董仙会は17年度から、ビッグデータを活用した新たな地域連携に着手する。連携先は医療機関にとどまらず、ドラッグストア、フィットネスクラブ、マッサージ店など、幅広い企業にも参加を呼び掛けるという。
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