「病院のベッドが埋まらない」―。ここ数年、医療関係者からこうした嘆きの声が聞こえてきます。「重症度、医療・看護必要度」の基準を満たす患者割合の引き上げ、医療療養病棟における医療区分の要件の厳格化…と、病院経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、どうすればベッドが埋まるのか―。病院の先行事例や有識者の言葉から、今後の経営のヒントを探りました。 |
医療法人寿芳会が運営する芳野病院(北九州市)は、地域包括ケア病棟が新設された2014年春、いち早く7対1病棟と決別し、地域包括ケア病棟を持つ後方支援病院として生まれ変わった。昨年12月には、療養病棟入院基本料1の届け出が受理され、懸案だった介護療養病床の問題もクリア。今後、サブアキュートの受け入れ機能を強化し、後方支援病院としての「完成形」を目指す。【敦賀陽平】
だが、同病院の10キロ圏内には200床以上の急性期病院が密集し、こうした病院の後方支援を行っているのが実情だったという。「いつか必ず、10対1、13対1の評価でしかなくなる」―。病院側は当時から、既に次の一手を用意していた。それが、リハビリに重点を置いた亜急性期・回復期機能の拡充だった。
同病院の病棟構成は10年秋の時点で、7対1(36床)、亜急性期(34床)、回復期リハ(36床)、医療療養(19床)、介護療養(36床)だったが、翌年4月に介護療養を18床に削減し、「脱療養」にかじを切ると、浮いた分の経営資源をグループホームの設立に投入し、法人内の医療と介護の連携を図った。
介護療養の削減に伴い、病院の入院患者数は減少したものの、周囲の急性期病院との役割分担を進めたことで、一日の入院単価は上昇。その後の地域包括ケア病棟新設への足掛かりとなった。
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