【豊田地域医療センター 在宅医療支援センター在宅支援課長補佐 鈴木重良】
豊田地域医療センター(愛知県豊田市)では2015年4月、在宅療養支援病院の届け出を行い、訪問診療を本格稼働させました。それから約2年、現在は120人を超える患者に訪問診療を提供しています。これからの医療において在宅への期待が高まっている中、この分野に新たに挑戦しようという病院も多いかもしれません。在宅医療のノウハウのない病院が新規に訪問診療部門を立ち上げ、軌道に乗せる上で、重要なカギを握る事務職員の役割について、当院の取り組みを振り返り、検証したいと思います。
豊田地域医療センターは1980年に開設され、西三河北部医療圏(人口約48万人)に属する公設民営病院です。開設に当たっては、豊田市と、豊田加茂医師会をはじめとした三師会の協力を得たほか、藤田保健衛生大学からは医師などの人的支援を受けた経緯があり、現在もバックアップを受けやすい立場にあります。市内2つの急性期基幹病院との連携は緊密で、介護保険施設からの緊急患者も積極的に受け入れています。
院内には、訪問看護ステーション、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所など介護保険事業所を併設し、地域の在宅介護サービスを行っています。
豊田市は愛知県のほぼ中央に位置し、県全体の17.8%を占める広大な面積を持つ街です。世界のTOYOTAを擁する「クルマのまち」として知られ、世界をリードするものづくり中枢都市の顔を持つ一方、市域のおよそ7割を豊かな森林が占め、田畑の広がる恵み多き緑のまちとしての顔を併せ持っています。
人口は42万人を超え、現在は比較的若い世代が多く、自動車関連産業など就業している人の多い街ですが、高齢化の波は確実に押し寄せてきており、25年には高齢化率が25%に達すると推計されています。また、豊田市の場合、急激な高齢者増加率が特徴的であり、全国平均の1.4倍を上回る「1.7倍を超える増加」とも言われています。
数年後には、医療・介護・保健などの分野で高齢者対策が大きな問題になる可能性があります。平成の市町村合併で市の領域が拡大し、広大な中山間地を抱えていることもあって、今後、各地域のニーズに合った「地域包括ケアシステム」の早急な構築が必須です。
次回配信は2月27日5:00を予定しています
(残り1138字 / 全2126字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】