昨年春の診療報酬改定が病院経営に及ぼした影響が、病院団体の調査で徐々に明らかになってきた。調査結果から、現場のどのような実態が読み取れるのか、そして、そこから導き出される次期改定の論点は-。各団体の担当者に話を聞いた。 |
全日本病院協会(全日病)が昨年秋に実施した会員調査で、同年春の改定後、一般病棟入院基本料の7対1から別の入院料に届け出を変更した病床が1755床あり、このうち4割が、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を選んだことが分かった。中央社会保険医療協議会(中医協)の委員で、同調査を担当した猪口雄二・全日病副会長は、10対1との病棟群単位の届け出を認める新制度が使いづらいために、7対1の要件を満たせなくなった病院が地域包括ケア病棟などにやむなく転換した結果だと見ている。【佐藤貴彦】
調査は963病院から有効回答を集めた。それによると、昨年3月は256病院の4万7308床が7対1を算定していたが、10月時点では250病院の4万6433床に減っていた =図、クリックで拡大= 。その差は875床(1.8%)で、猪口副会長は「意外と減っていない」と指摘する。
微減にとどまる理由の一つは、10対1から7対1に転換したケースが少なくないことで、5病院(858床)が該当した。これは昨年春の改定で、7対1の「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)に関する要件が見直され、救急患者の受け入れ件数や、手術件数が多い外科系の病院などで満たしやすくなったためだと猪口副会長は分析する。
■使い勝手が悪い病棟群単位
その一方で、50病院の1755床が7対1から別の入院料に転換。最も多くの病院が転換先に選んだのは地域包括ケア病棟入院料で、次に多い地域包括ケア入院医療管理料と合わせて27病院(696床)が該当した。転換した病床数に着目すると、10対1への転換が最多の976床(12病院)で、このうち2病院の95床が病棟群単位の届け出制度を利用していた。
猪口副会長は、地域包括ケア病棟入院料などに転換した病院が多いのは、病棟群単位の届け出を認める制度の使い勝手が悪いためだと指摘する。
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