財務官僚時代の厚生労働省出向中に療養病床再編の政策策定にかかわり、このままでは医療・介護難民が発生すると警鐘を鳴らした山形大大学院の村上正泰教授(医学系研究科医療政策学講座)。「介護療養型医療施設」(介護療養病床)をめぐる政策は、「住まい」の機能強化につながると一定の評価をする。ただ、療養病床、介護施設、在宅の患者・利用者の状態像は多様で、重複部分も出てくるが、地域の実情に応じて慢性期医療全体の在り方を考える必要があると主張する。【大戸豊】
村上教授は、2006年の医療制度改革に端を発した介護療養病床をめぐる問題は、国が合意形成に向けたプロセスを踏まず、医療費抑制の目標ありきで進めた結果、医療提供側の反発を招いたと振り返る。
その後、転換の在り方について議論が進められ、今回の社会保障審議会「療養病床の在り方等に関する特別部会」に至ったが、政策を決める手続きは、適切だったのではないかと話す。
今回、介護療養病床の転換先として示された「医療機能を内包した施設系サービス」(医療内包型)についても、村上教授は介護療養病床が持つ機能を実質的に確保できるものと言う。
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