【JAかみつが厚生連上都賀総合病院副院長兼看護部長 齋藤由利子】
「自分らしく生きたい」と思うことは、いつの時代も変わらないだろう。しかし、時代とともに社会環境も地域も経済も、医療・介護に関する制度も目まぐるしく変化する。特に超高齢社会への対応は、この先数十年は続く課題である。在院日数の短縮化が進められる中、退院支援・調整の重要性は高まるばかりだろう。
退院支援とは、「患者が自分の病気や障害を理解し、退院後も継続が必要な医療や看護を受けながら、どこで療養するか、どのような生活を送るかを自己決定するための支援」である。また、退院調整とは「患者の自己決定を実現するために、患者・家族の意向を踏まえて環境・ヒト・モノを社会保障制度や社会資源につなぐなどのマネジメントの過程」をいう1)。
看護師は患者や家族の一番近くにいる存在として、対象者の自己決定を支援する役割が大きい。
人口10万人弱の農山村地域である栃木県鹿沼市において、当院は急性期病院としての使命を持つ。352床のうち、7対1入院基本料254床、地域包括ケア病棟48床、精神病棟50床の構成となっている。一般病床の平均在院日数14.5日、在宅復帰率96%と、ほとんどの患者が自宅に退院している。地域包括ケア病棟は当院の一般病床からの転床が主で、稼働率は100%を超える。しかし、70%以上の在宅復帰率の要件を維持するには、マネジメントが必要になる。地域的にも、在宅療養支援診療所が4つしかなく、医療依存度が高い患者の在宅治療の継続は困難であるため、療養型病院に頼らざるを得ないのが現状だ。ただ、その療養型病院も地域に一つだけで、決して転院先も整備されているとは言えない。
患者が安心して退院できるように、かかりつけ医等の在宅医療・介護・福祉とのネットワークを構築するためにも、退院支援・調整の仕組みと効果的な運用が欠かせない。そのためにも、退院支援・調整に関わる「人的資源」の確保と「組織化」は必須であり、PFM(Patient Flow Management)の設立とその業務の拡大がポイントだった。
次回配信は12月15日5:00を予定しています
(残り1709字 / 全2633字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】