【医療法人社団十善会法人本部長 林政徳】
医療法人社団十善会は現在、野瀬病院(10対1(30床)、地域包括ケア病床(30床)、医療療養20対1(30床)の構成)をはじめ、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、デイサービスを運営しています。野瀬病院は昭和8年(1933年)、現院長の祖父、野瀬善三郎医師が神戸市長田区に診療所を開院しました。その後戦争を乗り越え、昭和26年(1951年)に野瀬病院となり、増築、改築を繰り返してきました。
1995年には阪神・淡路大震災で長田の街は焼け野原となりました。幸い建物は焼けずに残りましたが、病院運営などは困難の連続で、患者の減少、病院の老朽化が追い打ちを掛け、大変苦労したと、野瀬惟久会長から聞いています。
私は2012年の入職のため、それ以前の法人の組織風土や地域との関係などは説明できませんが、近年の病院の改革の方向性や、将来目指したい法人の姿をお伝えしたいと思います。
私が入職した時点で、病院の新築移転が進められており、土地取得をはじめ、設計事務所やコンサルティング会社が決定していました。しかし、新築移転に必要な融資、許認可のほか、地域への説明や職員の理解は進んでいませんでした。そして、一番大切なはずの法人の現状分析がされておらず、今後の病院の方向性が明確になっていませんでした。
入職直後に神戸市保健所の立入検査がありましたが、当時は、市民が毎日のように近畿厚生局や保健所、区役所に、当院への苦情を伝えていました。立入検査の時には保健所の担当者から事情聴取され、「この病院は本当に大丈夫なのか?勤務する医師がかわいそうではないですか」などと、担当者から同情されるほどで、ソフト・ハードの両面で改革が必要と強く感じました。
次回配信は12月13日5:00を予定しています
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