ロボットは医療や介護の現場をどのように変えていくのか-。国は、介護分野を中心に、効率化や生産性向上を目指し、ロボットの導入を進めている。ただ、ロボットには、人のコミュニケーションを促すという側面も持っている。医学生にロボットについて教え、介護施設などでロボットを通じた交流を行う獨協医科大の坂田信裕教授(基本医学情報教育部門)に話を聞いた。【大戸豊】
坂田教授は、2014年から医学部、看護学部の1年生らを対象にロボットについて教えている。医療情報分野が専門で、ロボットにはそれなりに関心はあったが、人型コミュニケーションロボット「Pepper」を一目見て、「医療や教育に向いている」と確信した。
坂田教授は、さまざまな分野の専門家と交流し、15年にはソフトバンクが主催するPepperを動かすためのアプリケーションのコンテストに応募。認知症の人をサポートするアプリ「ニンニンPepper」(受賞当時の名称、現在は「ninnin Project」として展開)は最優秀賞を受賞した。
このアプリの機能の一つには、独り暮らしで、認知機能の衰えもあり、薬をうまく飲めない高齢者に対し、Pepperが「朝の薬を飲みましたか」と尋ねたり、実際に薬を飲んだかを確認するといったことを想定した。それらの、今後目指すべきコンセプトを示したアプリは、在宅や介護施設での展開について将来を感じさせるものとなった。さらに、さまざまな職種のチームメンバーが「ロボットを活用した未来を目指す」という熱意のこもった取り組みであったことも、受賞につながったのではないかと坂田教授は考えている。
その後、チームは認知症の啓蒙アプリを開発。ninnin Projectとして、7月からこのアプリを無償ライセンスとして配布を開始し、学会の展示ブースなどで紹介され始めている。
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