【医療法人社団東山会調布東山病院理事長 小川聡子】
Ⅰ 地域を支える病院=地域医療を担う病院の役割
前回も触れたが、地域医療を担う病院には、3つの役割があると考える。
まず、病院医療で寝たきりをつくらないように、入院早期から多職種協働で退院支援を進めること。次に、生活の場が持っている力と医療の限界を知りつつ、生活の場に返すことを積極的に目指しマネジメントする。そして、地域の在宅医療、介護をバックアップしながら、地域づくりに関与することだ。
Ⅱ 日本が突入している少子高齢化社会
税収が減り、国家財政が厳しくなっている。孫子の代にこれ以上の負担を負わせるわけにはいかない。しかし、高齢者が安心して、尊厳をもって生を全うできる社会であり続けるには、我々ステークホルダー全員で社会保障費の適正配分を真剣に考え、行動を律して行かねばならない。
2025年には、当院のある東京都調布市の高齢化率は22.8%となる。65歳以上の高齢者が現在の4.5万人から5.5万人に増えるが、調布市で見れば高齢者1人を4人で支えることになる。さらに2035年には、85歳以上の後期高齢者数が、75歳から84歳までの後期高齢者数を上回る。もうあと10年しかない。
85歳以上の高齢者が増えれば、疾病構造も変化する。悪性新生物、循環器疾患(脳血管疾患、心不全)、呼吸器、消化器、感染症が増え、内科疾患が主となる。そして、疾患による救急搬送が急激に増え、認知症有病率が上昇する。さらに、単身者世帯の増加による影響も出てくるだろう。家族の力を借りることが難しい高齢者が増加するため、一層地域の力、地域のつながりが必要となってくる。
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