【岡山大大学院保健学研究科教授 齋藤信也】
看護師の夜勤は、病院というシステムと切っても切れない関係にある。入院患者の病態に昼夜の区別がないことを考えれば、夜間看護体制は病院医療の質の根幹をなすものと言える。これを診療報酬上評価するのはごく自然なことであり、2016年度改定でも、①「看護職員夜間12対1配置加算1」と「看護職員夜間16対1配置加算」の新設②急性期看護補助体制加算の「夜間看護体制加算」の追加③看護補助加算の「夜間看護体制加算」の新設-などの評価が行われた。
イ 夜勤を行う看護職員数は、常時12対1以上であること
ロ イは、次に掲げる夜間看護体制の充実に関する項目のうち、当該加算を算定する病棟及び保険医療機関において満たす項目が4項目以上の場合に限り算定する
①一つの勤務の終了時から、次の勤務の開始までの間の時間が11時間以上であること
②3交代制勤務の病棟において、勤務開始が前回勤務より遅い時刻(正循環)となる勤務編成(シフト)であること
③夜勤の連続回数は2回までであること
④所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜間を含めた各部署の業務量を把握し調整するシステムができており、かつ部署間での業務標準化を図り過去1年間に当該システムを夜間に運用した実績があること
⑤看護補助者を夜勤時間帯に配置していること
⑥みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上であること
⑦夜勤時間帯を含む院内保育所を設置していること
■看護職員夜間配置加算の引き上げは大規模病院の現状に合わせたもの
48床の標準的な病棟での4人夜勤をイメージしてほしい。
看護職員夜間配置加算はこれまで50点だったが、今回改定では基準を引き継いだ「加算2」の点数が60点にアップした。また上位の「加算1」は、看護体制の充実度を評価するロの項目(①-⑦)のうち、4項目以上を満たせば80点を算定できる。①-③はシフトの問題であり、看護師の数がある程度潤沢な大病院では、①と③は既に達成しているだろうし、②は、規模の大きな病院では、2交代勤が多いと思われるが、3交代勤の病棟であっても、その正循環シフト※も思ったほど困難ではないはずである。
※「日勤→準夜勤→深夜勤」といった始業時刻を遅くしていく勤務編成。身体リズムを保ちやすいといわれる
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