中央社会保険医療協議会(中医協)は3日の総会で、2016年度診療報酬改定案をめぐる最終協議を行い、同案のたたき台(いわゆる「短冊」)をおおむね了承した。それによると、禁煙治療は35歳未満の患者が受けやすくなるようにルールを見直す。「短冊」に盛り込まれた方向性を基に、中医協は来週、改定案を答申する見通しだ。【佐藤貴彦】
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16年度改定の主なテーマは、医療機関の機能分化・強化と連携など。患者の状態に合わせた病床の整備や、質の高い在宅医療の確保などを目指して、診療報酬を算定するための要件や報酬額が改められる。
「短冊」はこうしたテーマに則して、具体的な診療報酬項目の見直しの方向性などを整理したもの。先月27日に厚生労働省が示した「短冊」には、急性期の入院患者を受け入れる「7対1入院基本料」の算定病床数を絞り込む施策や、若年層の禁煙治療を推進する施策、入院外の患者の服薬状況を一元的かつ継続的に管理する「かかりつけ薬剤師」を普及させる施策などが盛り込まれた。
3日の総会で同省は、先月募集したパブリックコメントの結果などを参考に、これまでの委員の意見を反映させた「短冊」の修正案を提示。具体的には、7対1入院基本料を算定するためのルールの厳格化に伴い、許可病床200床未満の中小病院を対象とする激変緩和措置を設ける案を示した。
さらに、35歳未満の人が喫煙年数などにかかわらず、保険診療として禁煙治療を受けられるようにする方針も示した。中医協ではこれまで、30歳未満とするか50歳未満とするかで、委員の意見が分かれていた。
そのほか、「かかりつけ薬剤師」が働く薬局を評価する「基準調剤加算」について、営業時間の要件を厳しくすることなどを踏まえ、届け出る薬局内での酒類・たばこの販売を禁止するといった方向性を撤回した。
こうした修正案を受けて、中医協は「短冊」をおおむね了承した。しかし、保険者を代表する委員は、7対1入院基本料の届け出病床数の絞り込みが激変緩和措置で「骨抜き」にならないようにすべきなどと主張している。厚労省が今後示す答申書の案には、「短冊」で明記されていない具体的な報酬額などが盛り込まれるが、最後まで水面下の調整が続く見通しだ。
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