助産師の就業先の偏在解消や、助産の実践能力の向上を目指し、日本看護協会(日看協)が中心となって取り組んでいる「助産師出向支援モデル事業」が各地で成果を挙げつつある。昨年12月には、モデル事業を展開する15都県の看護協会の担当者や助産師らが一堂に介し、現場での活動内容や出向元と出向先とのマッチング時の留意点などを発表。“成功事例”や問題点などの情報を共有した。出向システムを整備することによって、就業先の偏在解消が図れるのか。現状の課題やモデル事業の成果、自治体との連携などを探った。【新井哉】
「現状は助産師の就業先の偏在により助産ケアを受けることができない妊産婦や、新生児の存在がある」。日看協の助産師職能委員会の福井トシ子委員長は、こう指摘する。こうした状況に加え、産科を含めた混合病棟の増加によって、助産の実践が積み重ねられる環境が少なくなっているという。
就業先の偏在は深刻だ。2011年の出生数は約105万人で、出生場所は病院と診療所がほぼ半分ずつだった。しかし、病院と診療所に就業している助産師(約2万9000人)のうち、病院の就業数者は全体の7割超を占めている。助産師の就業者数は増えているが、高度医療を担う総合周産期母子医療センターに助産師が集中。「ローリスクを含めた多様な助産実践を積み重ねる環境が提供されにくい状況にある」(日看協)といった課題がある。
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