インフルエンザの流行拡大に伴い、病院内や高齢者施設内での集団発生が相次いでいる。入院患者と職員が200人近く罹患したり、患者が死亡したりするケースも発生。予防接種によって症状が軽かったり、罹患に気付かなかったりした職員や患者に対して薬剤の投与が遅れ、感染拡大を招いた可能性もあることから、立ち入り調査を行った保健所は「施設内ではマスクの着用や手洗いといった基本的な感染対策を徹底することが大事」としている。【新井哉】
「インフルエンザの患者が10人を超えた」。静岡市保健所によると、昨年12月25日、同保健所に静岡済生会総合病院から電話で連絡があった。翌26日には同病院の関係者が保健所を訪れ、さらに患者が増えたと報告したという。その後も発熱を訴えたり、検査で陽性となったりするケースが相次ぎ、入院患者と職員の計183人がインフルエンザに感染した。
同病院は今月5日、3日と4日の入院患者の新規罹患数がゼロとなったため、集団感染は終息したと判断。ウェブサイトに引き続きインフルエンザの感染防止に努める方針を記載したほか、面会時のマスク着用や手洗い、うがいの励行といった感染対策への協力を求めている。
保健所の担当者は、病院側が職員や患者への予防接種に加え、院内感染の初期段階で抗インフルエンザウイルス薬の予防投与も行っていることから、「感染対策が不十分だったとは言えない」と説明。予防接種を受けた患者や職員の症状が軽くて罹患に気付かないことや、複数の感染源があることも想定し、手洗いやマスクの着用といった基本的な感染対策を行うよう指導したという。
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