「顔に布を掛けず、正面玄関から堂々と帰ってもらう」-。そんなふうに亡くなった患者を送り出す病院がある。ホスピスの草分け的存在として知られる、淀川キリスト教病院のホスピス・こどもホスピス病院(大阪市東淀川区)だ。2年前に新築移転をし、病棟型から独立型のホスピスへと変わったのを機に、「最後までその人らしく送りたい」という看護師の強い思いで実現するようになったという。その背景には、看護師たちのさまざまな葛藤があった。【坂本朝子】
「入院する時は正面玄関から。なのに、見送る時は裏口からそっと帰ってもらうというのはどうなのだろう」-。
移転に向けた準備について話し合う中で、そんな意見が出たという。それがきっかけで、「シーツにくるまれた状態は、どこか“物扱い”している気がする」「顔を出した状態で見送る病院もある。やってみてはどうだろう」など、普段から看護師が考えていた見送り方に対するいろんな思いやアイデアが出てきた。
そして、今までの病棟型ホスピスではできなかったことを独立型ならできるのではないかと考え、看護師たちは新たな見送り方を模索し始めた。
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