介護人材などの総合的な確保策や介護福祉士の資格取得方法などについて検討する社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会（委員長＝田中滋・慶大名誉教授）が27日、初会合を開いた。この日、厚労省は、介護に関心を持つ人を増やすため、小中学生を対象とした体験型学習の促進などを提案。また、資格を持ちながら、介護の現場で働いていない「潜在介護福祉士」の活用を図るための職場体験や再研修の実施を進めるなどの案も示した。【ただ正芳】

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　高齢化の進行に伴い、介護ニーズは高まり続けており、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年までに、新たに約100万人の介護従事者の確保が必要とされる。その一方、介護の離職率は、業界全体の平均でも10％台後半と高く、人手不足に拍車を掛けている。 　こうした状況に歯止めを掛けるため、厚労省は「福祉人材確保対策検討会」を開催。同検討会では今月22日、議論を取りまとめた。その中には、介護人材確保をテーマとしたグランドデザインを構築するなどの内容が盛り込まれている。 　同検討会の取りまとめを受け、社会保障審議会福祉部会では、福祉人材確保専門委員会を設置した。今後、同委員会は、介護人材の「量」と「質」を確保するための議論を進め、年内には介護人材に関する議論の取りまとめを行う方針だ。 ■介護事業者に事業構想や賃金体系の「見える化」求める案も 　この日、厚労省は介護人材の「量」を確保するための論点について、「参入促進」と「労働環境・処遇の改善」、「役割分担と連携」に分けて提案した。 　このうち「参入促進」では、介護事業者と地域の教育機関が連携し、小中学生が高齢者と接することができる体験型学習を進めることを提案。高校生や大学生に対しては、介護現場での職場体験やボランティア活動の推進を図ることも提案した。また、介護事業者と一般企業が連携し、地域住民を対象とした介護研修を実施する案も示した。 　さらに介護事業者に対しては、就職希望者への情報提供を強化するため、経営理念や将来に向けた事業構想、賃金体系、キャリアパス制度などを「見える化」することなども提案した。そのほかの案として、福祉人材センターとハローワークの連携強化なども示した。 　「労働環境・処遇の改善」では、入職後3年以内の人の離職を防ぐため、エルダー制・メンター制の導入促進や、基礎的な知識や技術を学びやすい環境の整備などを提案。「役割分担と連携」では、地域の介護事業者や労働関係機関、教育機関、一般企業、地域住民との連携の場（プラットホーム）を構築する案や、都道府県が各事業所の人材確保・育成の取り組みを認証する案などを示した。
　
　厚労省の提案に対し、武居敏委員（全国社会福祉協議会全国社会福祉法人経営者協議会副会長）は、若い人材が介護業界への就職を望んでも、親や学校の教師が反対し、実現しない場合も多いと指摘。また、花井圭子委員（連合総合政策局長）は、日ごろ介護の知識に接する機会が少ない社会人の男性を対象とした啓発活動も必要と訴えた。

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