【千葉大学医学部高齢社会医療政策研究部准教授 井出博生】
病院の核となる働きは、患者に医療を提供することである。患者に対して、医師や看護師が直接サービスを提供するが、その際に医薬品や医療材料は欠かせず、途切れることなく供給されなければならない。
医薬品や医療材料の供給と一口に言っても、物品を小分けにして配送するものだけでなく、剤型の変更が必要な薬剤や、回収、洗浄、滅菌、検品、配送という過程を経て、再び使用される診療器材もある。物品の種類とそれを届けるプロセスは多岐にわたるのである。
鋼製小物やリネン類のように、消耗品とは言えないものもあるし、給食用の食材、スタッフの食事、日用品、郵便物なども毎日届けられなければ、病院は機能しない。さらに、感染性廃棄物や一般廃棄物も、適切に病院内外で処理されなければならない。
もし、あなたが病院で働いていれば、普段の業務の中にさまざまなロジスティクスが織り込まれていることを容易に発見できるだろう。
苦瀬博仁『病院のロジスティクス』(白桃書房)2008年より
病院のロジスティクス機能は、(1)輸送機能(2)保管機能(3)流通加工機能(4)包装機能(5)荷役機能(6)情報機能―に分けられる。
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