厚生労働省は、たんの吸引などの医療行為を介護福祉士の業務と位置付ける制度改正の施行について、当初の予定から1年延期し、2016年4月1日とする方針を固めた。今年2月、国会に提出された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(医療・介護制度を改正するための一括法案)に、介護福祉士の資格取得方法の見直しを1年先延ばしとする案が含まれていることを受けての対応。【ただ正芳】
介護福祉士の資格については、▽実務経験ルートで国家試験を受験する人に原則450時間の研修を課す▽養成施設ルートの修了者にも国家試験受験を義務付ける―などの変更が加えられ、資格取得は一元化される。また、制度改正後の研修には「たんの吸引」や「経管栄養」といった医療行為に関する講習と演習が導入されることから、介護福祉士が行う業務に「たんの吸引」と「経管栄養」が加えられることも決まっていた。 この制度改正については、15年度からの実施が予定されている。しかし、介護人材不足の深刻化を受け、厚労省は実務者向けの研修や国家試験の義務化を16年度まで先送りする方針を決定。その方針を医療・介護制度を改正するための一括法案に盛り込んだ。 さらに厚労省は、この延期に合わせ、介護福祉士が医療行為を行えるとする制度改正の施行も、16年4月1日まで先送りする方針を固めた。そのほか「医療的ケアの領域」を介護福祉士国家試験の出題範囲に加える改正も、16年度の国家試験まで先送りされる見通しだ。
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