厚生労働省は、ケアマネジャーの資質向上を目指し、就業前の資格試験合格者を対象とした「介護支援専門員実務研修」に、就業後1年未満のケアマネジャーを対象に任意で実施されている「介護支援専門員実務従事者基礎研修」を統合する方針を固めた。同時に「介護支援専門員専門（更新）研修」と「主任介護支援専門員研修」の内容も見直す。また、各研修の修了時には「修了評価」を実施する方針も固まった。【ただ正芳】

　これまで社会保障審議会介護給付費分科会などでは、ケアマネジャーの養成・研修課程や資格の在り方の改善の必要性が指摘されてきた。特にケアマネジャーの研修カリキュラムについては、2012年に開催された厚労省の「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」で、実践的な研修を実現するため演習に重点を置くことや、「認知症」や「リハビリテーション」「看護」「福祉用具」などの選択課目を必修化することなどが提言された。 　こうした指摘や提言を受け、厚労省では、「地域包括ケアシステムにおいて、ケアマネジャーが医療職をはじめとした多職種と連携・協働しつつ、利用者の尊厳を旨とした自立支援に資するケアマネジメントを実践できる専門職」を基本的な考え方とし、ケアマネジャーの各研修カリキュラムの見直しを実施した。 ■研修統合で就業前の研修を充実 　見直しでは、実務に就く前の人の研修を充実させるため、就業前の資格試験合格者を対象とした「介護支援専門員実務研修」に、就業後1年未満のケアマネジャーを対象に任意で実施されている「介護支援専門員実務従事者基礎研修」を統合。その上で、「ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の意義」「サービス担当者会議の意義及び進め方」などの課目を新設するなど、研修内容も変更した。総研修時間は、現行の2研修を合算した時間（77時間）より10時間多い87時間となった。 ■専門研修の研修時間を大幅に増加 　「介護支援専門員専門（更新）研修」のうち、実務経験6か月以上の人を対象に実施する「専門研修1」は、演習を中心とした内容に改正。「ケアマネジメント演習」などを新設することで、研修時間も現行制度より23時間多い56時間となった。また、3年以上の実務経験を持つ人を対象とした「専門研修2」でも「ケアマネジメントの実践事例の研究及び発表」の課目を新設することで、現行制度より12時間多い32時間となった。 ■主任介護支援専門員研修に、新たな受講要件追加も 　「主任介護支援専門員研修」については、「スーパーバイズなどを通じた人材育成や、地域包括ケアシステムの構築に向けた地域づくりを実践できる者を養成する」の視点で内容を見直した。具体的には、「ケアマネジメントに必要な医療との連携及び多職種協働の実現」の課目を新設するなどした。研修時間は現行時間より6時間多い70時間。また、受講要件に「地域づくりへの参画」などの活動経験も追加する予定だ。
　
■厚労省がパブコメ募集 　厚労省では、この研修内容の見直しについて、パブリックコメントを募集している。募集期間は3月22日（必着）まで。意見は電子政府の総合窓口（e-Gov）か、厚労省老健局振興課人材研修係で受け付ける。詳細はこちら。また、主任介護支援専門員研修のパブリックコメントの詳細はこちら。

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