【松阪市民病院総合企画室副室長 世古口務】
当院では、医師数が過去最少となった2008年4月から医師人事評価制度を取り入れました。病院の掲げるビジョン、方針に対する職員の貢献度を評価しようと考えました。
■人事制度導入の背景
医師人事評価制度の導入には、次のような理由がありました。
①全国的に医師不足が叫ばれる中、地方の自治体病院には一層強く表れました。院内の労働環境の悪化が、勤務医の開業に拍車を掛け、病院に残された医師の仕事量はさらに増加するという悪循環に陥っていました。
このような中、病院のビジョンや方針に従って、貢献してくれる医師がモチベーションを維持し、勤務し続けていただくためにも、何らかの方策が必要と考えました。
②経営改善のために、松阪市が設置した「松阪市民病院あり方検討員会」の答申には、医師の給与制度について「医師人事評価制度を導入し、個人の勤務実績や仕事に対する意欲を評価し、これを昇給・昇格と連動させ、職員の意欲向上を図れる制度にすべきである」との記述がありました。
人事評価制度の必要性を行政側にも議会側にも理解していただき、年間医業収益の0.5%(08年度は約2500万円)を原資とし、賞与とは別に「勤勉手当」として支給することが決まりました。
③厳しい環境の中でも、救急医療、通常医療に日夜努力してくれている医師の貢献度に報いたいという院長の思いがあり、08年4月に導入したDPC/PDPSの導入を契機に、全職員の意識改革が進み、経営状況も急速に改善し始めたことから、勤勉手当が実現しました。
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