【浅見社会保険労務士事務所長 浅見浩】
2010年6月30日の改正育児・介護休業法の施行により、3歳未満の子どもを養育する労働者について、1日6時間の短時間勤務制度を設けることが事業主の義務とされ、ここ近年民間事業所においても短時間勤務者が増えてきました。しかし医療施設においては、短時間勤務が外来診療時間や病棟部門における1日の業務プロセスとフィットせず、短時間勤務者の取り扱いに苦慮しているところも多いのが実態だろうと思います。また、比較的小規模な無床診療所などにおいては、育児休業から復帰すること自体が困難であり、さらに育児短時間勤務などもってのほかという意見すらお聞きすることもあります。
確かに無床診療所で看護師が2人しかいないようなケースでは、そのうちの1人が産休・育休で長期休暇に入りますと1人では業務が回せませんから、もう1人を新規で雇い入れることになります。この時、新規採用者が育児休業者の復帰までの間だけ働いてくれるのであれば問題は生じないのですが、現実的にはそのような事業所側にとって都合のよい人材が採用できるとは限りません。そのため、無床診療所の院長には、産休・育休に入るのは本人の都合であるのだから、医院の実態に合わないのであれば退職してもらってもよいのだと考える方もいます。
しかし、国が定める指針「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(2009年厚生労働省告示第509号)」では、育児休業の申し出や取得に対して、次のような解雇や不利益な取り扱いなどが禁止されています。
次回の記事配信は、1月31日5:00を予定しています
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