【東京女子医科大学看護学部看護職生涯発達学准教授・東京女子医科大学男女共同参画推進局看護職キャリア開発支援センター運営委員 吉田澄恵】
筆者は、東京女子医科大学男女共同参画推進局の看護職キャリア開発支援センターにおいて、「キャリア中期・後期の学習支援」というプロジェクトを2011年に発足させ、担当者2人で運営している。このプロジェクトは、同大の関連病院に働く看護職を対象に広報し、申し込みのあった個人に対し、個別の学習支援を行うものである。本稿では、この経験と幾つかのキャリア中期・後期看護職を対象としたプロジェクトの経験から、「中堅看護師の流出を防げ!」という本連載に、知見を提案したい。
案内文を下記に記す。
「見つけよう!わたしの『知』 毎日の仕事をさりげなく当たり前に続けることができる一方で、これからどんなふうに働いていこうかと思い描いているのが、キャリア中期と呼ばれる時期です。また、自分および身近な人の生老病死の経験を重ねながら、仲間として働く後輩たちを見守りつつ働き続ける40代後半に入ったころからをキャリア後期と言います。
そんな看護職には、はっきり言葉にはできなくても、もっと考えたい、深めてみたいと思っていることがあるものです。病院内外の研修では、自分にぴったりした内容がないと思っていませんか?
看護職のキャリア発達支援の専門家が、あなたとスケジュールを合わせて、個別に、自分なりの学習を続けるための相談に応じます。わたしの『知』を見つけてみたい!そんなニーズのある方はご活用ください」
担当者が2人で、学部教育、認定看護師教育、大学院教育を兼務しているため、あまり広報活動をしていないため、これまでの利用者数は、延べ10件と少ない。しかし、現在までに対応した事例の主な相談内容は、(1)進学の情報に関すること(2)興味を持つ内容の学習方法に関すること(3)育児休業中にできる学習方法に関すること(4)看護研究に関すること-であった。
相談時間は、おおむね90-120分で、そのほとんどを面談に使う。ほかに、相談に応じながら、一緒に書籍を閲読したり、コンピューターで情報や文献の検索を行ったり、図書館での書籍や学会誌、商業誌、辞書などの活用を実演して見せたり、公的機関からの入学案内、研修案内などの取り寄せ方、大学などの教員との共同研究に着手する方法を紹介したりしている。今のところ、学士未取得者で、アカデミック・スキルを磨く機会のなかった教育背景の相談者が中心である。 次回の記事配信は、1月27日12:00を予定しています
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