【山形大大学院 医療政策学講座助教 伊藤嘉高】
急性期病院から療養型病院への転院を進める際、「追い出される」という印象を抱く患者や家族がいる。その原因はさまざまであるが、療養型病院に移る場合には、看護師配置など医療の密度が下がるにもかかわらず、高額の保険外負担が発生するために、患者の経済的負担が急性期のときよりも大きくなりかねないことが、患者や家族にネガティブな印象を抱かせる一要因になっている。
本コラムでは、「実費」相当とされているおむつ代に病院間でかなりの差があり、「実費」以外のコストが上乗せされているケースが少なからずあることを見た。さらには、入院基本料に包括され、患者に請求することが認められていないおむつ処理代や清拭用タオル代や使い捨て手袋代といったものまでもが請求されているケースもあった。
ちなみに、おむつ処理を業者委託している病院では、すべて「感染性一般廃棄物」として処理されるために、割高になっている可能性が高い。実際には、紙おむつはすべてを感染性一般廃棄物として処理する必要はなく、非感染性のおむつについては、「一般産業廃棄物」として処理することができる。この分別を行うことで、コストパフォーマンスを高めることは可能である。
この感染性/非感染性の区別は、環境省の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」によって規定されている(この規定では、便によって感染する可能性のない患者の紙おむつも感染性廃棄物として処理しなければならず、実態に即していないという指摘もある)。ただし、近年はガソリン代の高騰により、処理費用も高くなっているという声も聞かれる。
(残り1911字 / 全2613字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】