【混合診療裁判原告がん患者 清郷伸人】
混合診療とは、日本国内で承認された保険診療と承認されていない自由診療を併用することで、それは厚生労働省により原則禁止されている。違反には罰則があり、医師や保険医療機関には保険資格の停止、被保険者である患者には保険給付の返還・取り消しが科される。
以前から、がんなどの難病・重病患者からは、日本では認められていない新薬や先進治療を保険診療と併用できるよう求める声があったが、厚労省や医療者団体などの既得権益勢力により黙殺され、また立法府や政府も既成勢力の意向に配慮し、こうした患者らの声は無視されてきた。一方で小泉内閣以降、混合診療問題は規制改革の主要なテーマであり続けており、現在の安倍内閣まで常に未解決の問題として先送りされてきた。
がん患者の半数は、保険で認められた標準治療では治らないといわれる。そのような患者が、日本では認められていない海外の標準治療や先進治療を受けたいと思うのは自然である。しかし、日本ではその治療は受けられないし、仮に自由診療として受ければ、患者は保険診療分も含めた高額な医療費を全額自己負担する覚悟をしなければならない。この理不尽に対し、患者から怨嗟や非難が起こるのは当然である。
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