規制改革会議がその議論の重要テーマに掲げるなど、いわゆる「混合診療」に対する関心が再び高まっている。シリーズ「『混合診療』を考える」では、5回にわたり、毎回異なる立場の識者に意見を聞く。
【日本医師会副会長 中川俊男】
いわゆる「混合診療」をめぐる議論は小泉政権時代から、何度も繰り返されてきた。その中で06年、保険診療と保険外診療を組み合わせる「保険外併用療養」(評価療養、選定療養)が創設され、きちんとしたルールの下、「混合診療の部分解禁」として機能していることは大きな成果と言えるだろう。
先進医療を中心とする評価療養は、近い将来に保険収載することを前提としている。この仕組みの機動性を高め、純粋にその対象を拡大するのであれば、それは「保険適用への道筋の拡大」であり、大賛成である。このほど運用が開始された「最先端医療迅速評価制度」(仮称、先進医療ハイウェイ構想)(※1)についても、評価の迅速化を図るあまり、安全性・有効性の検証がおろそかになる危険性にはもちろん厳重な監視が必要だ。その上で、あくまでもこの評価療養の枠組みで推進され、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグの解消につながることを期待したい。
※1)最先端医療迅速評価制度(仮称、先進医療ハイウェイ構想)=先進医療の対象範囲を大幅に拡大するため、外部機関による評価体制を新たに創設し、審査の迅速化・効率化を図る仕組み。政府が6月にまとめた「日本再興戦略」で打ち出した。抗がん剤や再生医療、医療機器などが対象。抗がん剤については、国立がん研究センターが外部評価機関となり、11月から運用を開始した。
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