【大澤一記(日本橋人形町法律事務所 弁護士、医師)】
民事訴訟では、請求権の根拠となる事実(要件事実)を主張・立証しなくてはなりません。今回は、原告による主張・立証責任を、具体的な事案で説明していきます。
患児は、ファロー四徴症・肺動脈閉鎖に罹患していたため、被告病院で7歳の時に根治手術を受けました。患児には、WPW症候群の既往があるため、術前にカテーテル焼灼術が施行されていたりしました。術後、不整脈が出現したことなどに対する治療のため、アスペノン、プリンペラン、インデラル、ソービタの各薬剤が投与されたが、患児は器質的脳疾患を疑わせる症状を発症し、脳幹浮腫を呈し、肺炎を併発して死亡しました。訴訟提起後の鑑定により、患児には基礎疾患にミトコンドリア脳症があり、Leigh脳症を発症したと確定しました。
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