【米津・逢坂法律事務所 弁護士 逢坂哲也】
第4回目と、次回の第5回目は、応召義務に関して、入院患者の強制退院を取り上げてみたいと思います。
2007年(平成19年)9月に、入院費の未払いなどでトラブルのあった入院患者を、病院職員4人が公園に置き去りにして、保護責任者遺棄の疑いで書類送検された事件が、新聞などで大きく報じられたことがありました。
医療の現場では、入院治療が不要となったのに、退院に応じようとしなかったり、大声で騒いだり暴力を振るったりして、医師・看護師や他の入院患者に迷惑を掛ける患者など、退院を求めたいケースに少なからず直面します。
これは、結核病床を有する病院が、入院患者の激増および院内秩序維持のため、規則等で「入院患者の症状が入院治療を必要としないと医師が診定した場合、病院の管理者は、患者の意に反しても退院を命ずることができる」「患者の動言が病院の秩序を害すると認めた場合、病院の管理者が患者の意に反し退院を命ずることができる」と規定することの可否についての回答です。
厚生省通達は、「患者の入院は、患者と病院当局との間における契約にもとづくものであり、且つ、照会に係る院内規則の内容は何ら法令及び公序良俗に違反するものでなくこれを内容とする院内規則等を規定しておき、入院に際しこれらを遵守することを条件として入院せしめることは差し支えないと解する」とし、ただし、「その運用に当たっては医業の本質に反することのないよう然るべく御指導願いたい」と回答しました。
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