医療法人や介護事業者の事業再生支援などを手掛けるヘルスケアマネジメントパートナーズ(東京都港区)の村山浩社長は、病院や高齢者住宅の不動産の証券化(流動化)やヘルスケアリートは、今後5年から10年で普及する可能性があると言う。【大戸豊】
■15年返済の銀行ローンでは厳しい
村山氏は、病院が立て替えを進める場合、福祉医療機構の30年ローンなどを最大限活用できればベストだが、貸付条件に制限があることから、その多くを銀行のローンに頼らざるを得ない側面があると指摘する。
しかし、例えば30億円の借り入れが必要で、それを15年で返済するのは相当厳しいと言い、そのような場合、不動産の流動化の手法が活用できるのではないかと話す。
不動産の流動化では、企業や病院が土地・建物を「特別目的会社(SPC)」に売却して、SPCはその資産を担保に資金を調達する。売却した土地・建物は引き続き病院が賃貸借契約を結んで利用し続ける。病院は資産をオフバランス化(資産の一部を賃借対照表から切り離すこと)でき、借入金や金利負担も軽減でき、かつ、節税効果による資金繰り改善のメリットがある。
村山氏は、不動産の流動化の活用についてこう説明する。
例えば、土地・建物の簿価25億円で、手持ち現金が2億円ある債務超過の病院が30億円の借入金を15年で返済(金利4%)しているとする=図1=。
村山氏は、税引後利益が9600万円出ていても、手持ち現金と累積損失の税効果を上手く活用しないと、年度の資金繰りでは元本返済のために資金がショートする危険性があるという。実際、長期負債の返済を運転資金名目の短期資金を借りて返済した結果、長期負債は減っても、短期負債が積み上がっていく病院も多いという。
(残り2201字 / 全2962字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】