病院や有料老人ホーム、高齢者住宅は今後、賃貸できるようになるのか-。医療や介護施設はこれまで、金融機関から融資を受け、自分のところで建てるのが当たり前だった。しかし、マンションや商業施設で活用されていた不動産の証券化(流動化)やリート(不動産投資信託、REIT=Real Estate Investment Trust)の手法が、ヘルスケア分野にも適用され始めている。【大戸豊】
高齢化の進展による高齢者向け住宅や有料老人ホームの建設需要の増大、老朽化で改修や建て替えを迫られる病院が増える中、国内での「ヘルスケアリート」の実現可能性を検討しながら、銀行以外からの資金調達の方法を探ろうというものだ。
施設の「所有から利用」は普及するか(下)- 病院よりも有料ホームなどが先行
リート(REIT)とは、不動産証券化(流動化)の一つの手法だ。
不動産証券化とは、例えば有料老人ホームの所有者が、証券化のために設立した特別目的会社(SPC)に施設を売却し、SPCがその不動産を裏付けとした証券を発行することで資金調達を行う仕組み。有料老人ホームは施設の売却後も、引き続きその施設を賃貸する「リースバック」を活用することも多い。
不動産証券化の手法には、限られた投資家が小規模かつ単独の不動産に投資する「私募ファンド」といった形態もあれば、多くの不動産を投資対象として長期的に保有し、発行された証券を一般投資家にも販売する「リート」もある。日本の国内法に基づいたリートで、証券取引所に上場しているものを「J-REIT」と呼んでいる。
リートの場合、事業期間は無制限だが、私募ファンドが物件を取得し、運営事業者に賃貸している場合、5年程度で返済が必要になる。
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