【株式会社MMオフィス代表取締役 工藤高】
病院経営において増収対策と費用削減対策は車の両輪である。多くの人を必要とする労働集約型産業である病院にとって、人件費の多寡は経営のカギを握っている。診療・治療・看護のサービスを直接提供する人員を増やすことは、人件費の増加につながっても、それ以上に収入を増やすことができれば人件費比率は相対的に下がることは従来からお伝えしている。そこで、地方公営企業年鑑(総務省自治財政局編、平成22年度、第58集)に載っている公立病院の経営実績データから、人件費が病院経営にどのような影響を与えているのか考えてみたい。
2010年度の地方公営企業年鑑には883の病院が載っている(前年度は916病院)。経営主体別では、都道府県立170病院(39都道府県)、指定都市立41病院(16指定都市)、市立383病院(318市)、町村立185病院(178町村)及び一部事務組合立104病院(78組合)となっている。
公営企業年鑑への掲載対象となる病院数は年々減っており、2006年度から10年度までで約100病院が減っている=グラフ1=。
病院数の減少の内訳を見ると、診療所化が43病院と多くなっており、規模の小さい所を中心に整理されているようである。
(残り1414字 / 全1958字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】