厚生労働省保険局の鈴木康裕医療課長は、キャリアブレインのインタビューに応じ、中央社会保険医療協議会(中医協)で検討を進めているDPC対象病院のグループ分けについて、政府・与党が税・社会保障の一体改革成案の中で掲げる病院の病床再編の考え方とリンクするとの認識を示した。
一体改革の成案は、約107万床ある現在の一般病床を、2025年度までに高度急性期(18万-22万床)、一般急性期(35万-46万床)、亜急性期(26万-35万床)などに再編する内容。一方、DPC制度をめぐっては12年度の診療報酬改定で、DPC対象病院を診療実績などに応じて幾つかのグループに分け、現行の調整係数に代わる基礎係数をグループごとに設定することになっている。これまでの議論では、「大学病院本院」を1つのグループにすることがほぼ決まっている。
DPCの算定病床は昨年11月現在、約47万床あり、鈴木課長はこれらすべてが高度急性期を担うには多過ぎると指摘。その一方で、DPC対象病院の大学病院本院だけでは病床数が18万床に満たず、このほかにも高度急性期を担う医療機関が必要だとの認識を示した。
主なやりとりは次の通り。
―DPC対象病院のグループ分けの議論が進んでいます。一方で、税・社会保障の一体改革成案の中にも、一般病床を病期ごとに再編する方向性(図参照)を掲げています。これらは互いにリンクしていると理解してよろしいでしょうか。
DPCの基礎係数に関しては、「大学病院本院」を1つのグループにすることにはほぼコンセンサスが得られていて、現在はそれ以外の病院についてもグループ分けをするのかしないのか、グループに分けるとしたらどうするのかが議論になっています。現在、DPCの算定病床は約47万床で、一般病床全体のほぼ半数を占めます。政府・与党が6月に公表した一体改革成案では、病院の一般病床を「高度急性期」「一般急性期」「亜急性期・回復期リハ等」に25年までに再編するとしています。このうち高度急性期の病床数を18万床とすると、すべてのDPC病床がここに移行するには多過ぎます。となると、急性期病床は今後、高度急性期と一般急性期とにある程度分化していかなければなりません。とはいえ、現在の大学病院本院だけでは高度急性期の18万床には足りません。それでは、ほかにどのような医療機関がこの部分を担うべきなのか―。今すぐというわけではありませんが、25年の着地点に向けて、診療報酬の支払い方法と併せてこうしたことを考えていく必要があります。その意味で、DPC対象病院のグループ分けと、25年の絵姿がある程度リンクして動くことは確かです。
―DPC対象病院はもう少し必要ですか。
そこは難しいところです。一般の急性期病院すべてがDPCであるべきなのかどうかを含めて議論する必要があるでしょう。
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