診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査(実調)の調査票の誤送付問題について検証していた中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)の作業部会(WG)は8月24日、これまでの検証結果をまとめた報告書を同日の中医協総会に提出した。報告書では、誤送付の原因を「事務処理ミス」と結論付け、調査を委託した厚生労働省や、受託先のみずほ情報総研に対して、再発防止策を徹底するよう求めた。
■実調業務の「1社入札」是正を
報告書によると、調査票の誤送付は、みずほ情報総研から発送の委託を受けた会社が誤って送った医療機関から、同社が設置したコールセンターに連絡があったことで判明した。送付の対象外だった18施設のうち、実際に調査票が届いたのは8施設(10施設は事前回収)。一方、事前に連絡した上で送る予定だった895施設のうち、配達されたのは824施設(71施設は事前回収)だった。
誤送付の原因については、みずほ情報総研と同社委託先の指示・確認作業上の基本的なミスと結論付け、送付物の分別・管理の不備など、両社の内部管理体制の問題が背景にあると指摘した。
誤送付の再発を防ぐため、みずほ情報総研側は、コーポレート部門担当の専務取締役をトップとする「事故対応検討PT」(プロジェクトチーム)の設置や、実調の実務経験が豊富なリーダーの起用などで社内体制を整備。一方、厚労省側は、委託業務の点検や、新たに委託する際の審査の強化などを進めているとしている。
報告書では、みずほ情報総研に対して、再発防止策に関する内部監査の必要性を指摘。また、同社が継続的に業務を請け負う事実上の「1社入札」となっていることから、できるだけ多くの業者が入札に参加できるよう、厚労省側に対応を求めた。
この日の総会で診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は、同じ業者が継続して受託している現状を問題視し、「それを改善しないと、また同じようなことが繰り返される可能性が高い」と警鐘を鳴らした。一方、厚労省の担当者は実調データの信頼性の検証について、「引き続き作業して報告する」とした。
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