中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は8月24日に総会を開き、東日本大震災の被災地にある医療機関を対象にした診療報酬の算定要件緩和と、特例加算の創設について議論した。中医協委員が1-3日に行った被災地視察で受けた要望を踏まえ、厚生労働省が提案した。委員からは、算定要件の緩和について異論は出なかったが、特例加算については「国の補助金で対応すべき」などと慎重論が相次いだ。
また、特例加算については、患者の自己負担や保険者の負担に配慮しながら創設するよう求められたとし、財源を含めて次の報酬改定までに議論することを提案した。
委員からは、算定要件の緩和について反対意見は出ず、実施することで合意した。支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、▽「被災地」の定義▽緩和する期間―について検討が必要との考えを示した。
一方、特例加算の創設については、議論することでは合意したものの、慎重論が相次いだ。
診療側の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)は、特例加算を創設しても、患者の自己負担が増えない仕組みにすると、保険者の財政が圧迫されるとの懸念を示した。また、「受診する方が増えなければ、財政支援にはならない」とし、医療提供体制を再構築せずに診療報酬上の加算を創設しても効果は薄いと指摘した。白川委員も患者の自己負担の増加や保険財政の悪化への懸念を示し、診療報酬上の加算ではなく、国の補助金で対応すべきとの認識を示した。
■患者や保険者の負担を公費で補てんも
こうした議論を受け、この日の総会に出席した大塚耕平厚労副大臣は「大きな方向性は一緒だ」としながらも、「次の(改定からその次の改定までの)2年間は、被災地ではまだ復興対応(の時期)だ」との認識を示し、特例加算について議論を続けるよう求めた。
その上で、特例加算創設の財源に関して、患者や保険者の負担を公費で補てんする仕組みも考えられると指摘。「特例加算をすると、患者さんの負担が増えるというロジックだけで、議論にフタをしないでいただきたい。中医協のミッションでできない部分については、政府側も努力する」と述べた。
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