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■写真やファイル共有も簡単
kubell(東京都港区)は、ビジネスチャット「Chatwork(チャットワーク)」を展開する。仕事における円滑な情報共有やコミュニケーションを行うビジネスチャットで、医療・介護事業者にも利用しやすい上、個人情報などを扱う上でのセキュリティーも担保している。
PCやスマートフォン、タブレット端末とマルチデバイスで利用可能。1対多数の情報共有もできる。医師・看護師をはじめとした多職種間での連携を行い、生産性を高めて患者に向き合う時間を増やす。また、情報の精度や共有スピードが上がることによって、医療の質の向上につなげる。
「Chatwork」は複数人でのグループチャットと、1対1のダイレクトチャットを搭載。検索表示機能は新着順、グループチャット別、ユーザー(投稿者)別にそれぞれ表示され、過去の記録をさかのぼりやすい。写真やファイルも送ることができ、患部や傷の様子から、医師などから判断を仰ぐ材料も提供できる。
チャット内でタスク管理ができ、チャットの会話をそのままタスク化することも可能。タスクの割当先の完了・未完了ステータスを確認できるため、進捗状況を一目で把握でき、リマインドも容易となっている。
大容量ファイルも簡単にアップロード・共有が可能。1ファイル最大5ギガバイトまで、同時に20ファイルを一度にアップロードできる。チャット内のファイルタブからファイルのみの一覧を確認でき、ファイル名から検索ができる。チャットでは伝わりにくい時にすぐ起動できるよう、ビデオ・音声通話はチャット画面からワンクリックで行うことができる。
初期費用は無料で、0円で利用できる「フリープラン」もある。有料プランは年間契約で月額700円の「ビジネスプラン」と1,200円の「エンタープライズプラン」を用意。「エンタープライズプラン」ではセキュリティーリスク管理の機能や、管理者向けのチャットサポートもある。中小医療機関などでIT投資に迷いがあったり、大規模な投資が難しい状況でも試しやすい価格となっている。
多機能は追求せず、必要十分な機能に絞り込むことで、誰にでもすぐに使いこなすことができる。主要機能は、メイン画面からワンクリックで遷移・操作できる仕様で、ユーザーが直感的に利用でき、画面上で迷わない設計にしている。
「Chatwork」は、離れた場所で働く社員同士が、ITツールに不慣れでも円滑なコミュニケーションをとるための自社システムとして開発された。サービス進化の過程で、情報共有や連絡といったノンコア業務を効率化することで、社員がコア業務に集中できる環境を整えることが、組織全体の生産性向上に大きく貢献すると分かり、さまざまな現場の課題解決に寄与するツールとして進化した。
医療現場では患者のケア時間を確保し、ケアの質を向上させることが重要課題になる。そのために、治療以外の情報共有や連絡・書類業務の効率化が求められる。kubellでは医師や看護師など多くの職種が連携し、離れた場所や異なる時間で働く者同士でも情報精度を下げず、医療の質を向上させるツールとして「Chatwork」を提案する。また既読機能やオンラインステータスを非搭載にすることで、集中を阻害せず生産性向上を後押ししている。
さらにプッシュ通知の休日設定機能で、任意の曜日・時間の通知をオフにすることが可能。任意の時間にメッセージを送信できる「予約送信機能」も装備し、相手のシフト時間や次の出勤日に合わせて送信時間を設定できる。いずれもシフト勤務のスタッフが、休日のチャット通知でストレスを感じないようにした。
■患者に向き合う時間増える
医療法人和会武蔵台病院(埼玉県日高市)は、2020年に始まったコロナ禍で業務が増える中、正確な情報連絡のためのツールとして、「Chatwork」を導入した。その後、生産性向上に向け活用を進化させ、連絡基盤を従来の口頭・電話・紙中心の運用からチャットへ移行した。
変化として、医療現場の効率化と業務負担の軽減がある。主な連絡手段をチャットにしてから、医師1人当たりのPHS平均着信回数と平均発信回数は大幅に減少した。ある医師は1日31.5回あった平均着信回数が5回と、84%減少。別の医師は23.3回から2.1回へと90%減った。頻繁な着信による業務の中断が大幅に削減され、医師が患者ケアや処置に集中できる環境が整った。
回復期病棟の夜勤から日勤への交代時に16.4分かかっていた申し送り時間はゼロに。一般病棟の日勤から夜勤への交代時は4.2分となり、それまでより29分近く減った。医師による入院患者の回診も、チャットで事前に情報を共有することで、業務負担が改善し、医師4人で月間36.7時間から40%減の22.1時間に短縮した。
看護師の患者ケア時間が増加し、医療品質の向上にもつなげている。武蔵台病院では看護師ができるだけ患者のそばにいるセル看護提供方式を採用している。連絡基盤として「Chatwork」を採用し、ナースコールの呼び出し回数が1日259回から150回へと42%減少。1日ケアや見守りの時間が増えた。その結果、褥瘡の発生率は23年7月に0%を達成した。
導入後のサポートとしては、活用ステップやモデルケースを提示する。具体的には操作説明会の実施、課題の特定、運用ルールの策定、グループチャットの設計・提示など。データを利用した活用状況の分析や可視化も行う。
API連携による多サービスの作業の自動化や、経理・労務などの業務代行を行う「Chatwork アシスタント」にも接続できる。kubellでは「Chatwork」を通してあらゆる仕事に接続していくプラットフォーム化を目指す。
▽株式会社kubell「Chatwork」
https://go.chatwork.com/ja/