【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
2025年度に見直される介護福祉士国家試験の新ルールが、厚生労働省の「介護福祉士国家試験パート合格の導入に関する検討会」(第2回)の配付資料で示された。見直しの中心は、「パート合格」という新ルールの導入だ。
パート合格とは、国試の科目を3つに分けた上で、最初に受ける試験では全てのパートを受験してもらい、次回以降は不合格のパートのみ受験すればよいというものだ。合格したパートについて、その後2年間(翌年と翌々年)にわたり受験しなくてもよいルールとし、1年ごとに1パートずつ合格していけば、3年で介護福祉士の国家資格を取得できる仕組みだ。(※合格の有効期限が切れたパートは改めて受験しなければならない)
これによって介護職員として働きながら勉強して試験合格を目指す人の増加や、外国人がより資格を取りやすくなることを国は見込んでいるものと思われるが、実際にこのルールが適用されることになれば資格取得のハードルは間違いなく下がるのだから、介護福祉士という国家資格は取りやすくなるだろう。しかし、そのことが果たして時代や国民のニーズに合致するのだろうか。
周知のことであるが、社会福祉士および介護福祉士法の改正により介護福祉士の資格取得の方法が見直され、介護福祉士養成施設の卒業者も17年4月1日から介護福祉士国家試験に合格しなければ、介護福祉士の資格を取得できなくなった。(※新法第39条)
ただし、新法が施行された17年4月1日から27年3月31日までに介護福祉士養成施設を卒業した人は介護福祉士試験に合格しなくても、卒業年度の翌年度から5年間は介護福祉士となる資格を有する人とみなされる経過措置が設けられている。
この経過措置の適用を受けていて、5年間で何としても試験に合格しなければならないと考えている人にとって、今回のルール見直しは朗報だろう。特に試験を受けたものの、合格を勝ち取れなかった人にとっては大いなるメリットだ。
ただ、見方を変えれば、現行制度では合格が難しかった人が新ルールによって合格できる可能性が上がるということも言える。それによって現在よりもスキルの低い介護福祉士が大量生産される結果にならないのかという懸念が生じてもおかしくはない。
■スキル担保の方向性と逆行か
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