【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■支払側・診療側双方から厳しい意見の相次いだ敷地内薬局
2022年度診療報酬改定で新設された急性期充実体制加算は、総合入院体制加算の点数設定を上回る高い点数が設定されたことや、敷地内薬局を設置している医療機関がNGとなることなど、多くの点で驚きがあった。さらに、22年度改定に向けた中医協において、敷地内薬局を要件として問うことの是非について丁寧に議論された記憶がなかっただけに、そのインパクトは大きかった。
24年度診療報酬改定に向けた中医協の議論では、敷地内薬局に対し、支払側・診療側双方から厳しい意見があったことは、たびたびCBnewsでも報じられた(下記はその例)。
敷地内薬局に強い対応求める意見、中医協
https://www.cbnews.jp/news/entry/20230727161822
敷地内薬局「国が目指す姿に逆行」、中医協
https://www.cbnews.jp/news/entry/20230830200853
敷地内薬局対策、医療機関の処方箋料引き下げ主張
https://www.cbnews.jp/news/entry/20231227191014
特に、昨年11月29日の中医協総会後の厚労省の担当者のコメントは「敷地内薬局について1つ1つの店舗をどうにかするのではなく、そういう店舗を持っている法人に対して何らかの対応を行うべきだというイメージだ」(下記CBnewsの記事より引用)と強烈だった。
「敷地内薬局」対策で新たな評価、厚労省案
https://www.cbnews.jp/news/entry/20231129152627
このグループ全体に厳しい報酬を適用する案は、積極的に敷地内薬局を展開する特定の法人名をつけ、“○○○減算”と揶揄されていたが、1月26日の短冊を見ると、その減算は回避されたようだ。しかし、敷地内薬局に対する厳しい評価は、総合入院体制加算の項目に載ってきた。総合入院体制の届け出において、敷地内薬局NGとなることが明らかになった。このことはCBnewsでも報じられた(下記参照)。
敷地内薬局がある病院、総合入院体制加算の算定認めず
https://www.cbnews.jp/news/entry/20240126204411
急性期充実体制加算や総合入院体制加算は、医療充実を図る病院において、極めて経営インパクトの大きい加算項目である。これらの加算は高い診療実績が問われる。その要件に、なぜ診療機能の充実に直接的に影響しない敷地内薬局の有無があるのだろうか。その建前は、敷地内薬局は医薬分業の理念に反する、なのだろう。しかし、半ば強引とも言える改定内容への反映は、経済的なものがゆがめられている実態に対する、厚労省からの「敷地内薬局は絶対に認めない」というメッセージ発信と受け止めている。
■急性期充実体制加算の届け出施設数が、総合入院体制加算の届け出施設数を超えた
直近の届け出において、急性期充実体制加算は230施設を超え、総合入院体制加算の届け出施設数を上回った=グラフ1=。22年度改定前には、急性期充実体制加算の届け出は1都道府県に1施設程度の想定といった話も耳にしていた。しかしここまで増えたのは、加算点数の魅力が大きかったため、総合入院体制加算から急性期充実体制加算へ移行が順調に進み、加えて、診療体制面などで総合入院体制加算の要件をクリアできなかった施設が新たに届け出したことが理由だろう。
高い診療実績などを満たす総合入院体制加算1の施設のほとんどは、急性期充実体制加算に移行した。しかし、
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次回配信は2月14日5:00を予定しています
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