2024年度診療報酬を巡る攻防が大詰めを迎えている。公定価格で運営される医療機関で賃上げや物価高騰に対応するには大幅なプラス引き上げが必要だとする日本医師会や病院団体に対して財務省はマイナス改定を主張していて、年末の政府予算案の編成に向けて大きな焦点の一つになる。【兼松昭夫】
翌年の診療報酬改定に向けた財務省と医療界の激しいやり取りは、2年に一回の恒例行事のようになっているが、今回はいつもと様相が違う。
24年度の診療報酬改定は、介護報酬や障害福祉サービス等報酬との6年ごとの同時改定に当たる。その上、賃上げや物価高騰への対応が大きな課題になっている。
23年の春闘では、30年ぶりの高水準となる賃上げが実現した。これに対して医療界では、医師・歯科医師・薬剤師・看護師を除く「コメディカル」の給与の平均が12年以降、全産業の水準を下回って推移している=グラフ=。
22年の時点では、全産業の平均が月36.1万円だったのに対し、コメディカルは月32.7万円。中でも看護補助者は月25.5万円にとどまっている。
公定価格で運営される医療機関が賃上げの十分な原資を24年度に確保できなければ医療から他産業への人材流出が進みかねない。
それだけに日本医師会では、24年度の改定で高齢化相当分のシーリングとは別枠で賃上げの原資を確保すべきだと再三主張してきた。日医の幹部は、
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