医師の働き方改革による地域医療への影響を明らかにするため日本医師会が行った調査によると、時間外労働の上限が規制される2024年4月以降、地域の救急医療の体制が縮小されたり医療機関が救急医療から撤退したりする懸念があると3,088病院の34.6%が答えた。【兼松昭夫】
地域医療への影響を現時点で「把握できていない」という答えも14.7%を占め、城守国斗常任理事は29日の定例記者会見で、大学病院などによる医師の派遣の状況によっては「地域医療に大きな影響が出る可能性がある」と述べた。
日医では、時間外労働の上限規制が始まる直前の24年2月に改めて調査を行うことにしている。
調査は10月17-31日、全国の病院と有床診療所合わせて1万4,128カ所(病院8,144カ所、有床診5,984カ所)を対象に実施し、4,350カ所(病院3,088カ所、有床診1,262カ所)から回答があった(回答率30.8%)。
時間外労働の上限規制が始まる24年4月以降、地域医療の提供体制で懸念することを病院に聞いたところ(複数回答可)、「救急医療体制の縮小・撤退」を1,069カ所(34.6%)が挙げ、11の選択肢の中で最多だった。
以下は、「特に変化なし」1,058カ所(34.3%)、「専門的な医療提供体制の縮小・撤退」671カ所(21.7%)、「その他の地域医療連携体制の縮小・不備」473カ所(15.3%)などの順。地域医療への影響を「把握できていない」は453カ所(14.7%)だった。
有床診では、「特に変化なし」583カ所(46.2%)が最も多く、「周産期医療体制の縮小・撤退」251カ所(19.9%)、「救急医療体制の縮小・撤退」234カ所(18.5%)などが続いた。
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