【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■「人口増加は東京都のみ 沖縄県は日本に復帰して以降初めての人口減少」
この見出しの文言は、2023年4月に総務省統計局が公表した人口推計(22年10月1日現在)の報道資料から引用したものである。相対的に出生率が高く、これまで人口増加を続けていた沖縄は、復帰50年で初めて減少になった。このことには多少驚きがあるものの、全国的な人口減・少子高齢化の流れの中に沖縄もあるということだろう。また、同じ資料で使用された都道府県別の人口増減率の地図を見ても、東京以外は減少になっていることが分かる=グラフ1=。東京は人口が増えているものの、その要因は社会増加(進学、就職などを理由にした転入が、転出を上回る状態)が多いためであり、他道府県同様、出生より死亡が上回る自然減少状態にある。47都道府県で最も出生率の低い東京に人が集まることは、少子化に輪をかけている可能性すらある。
全国的に少子高齢化の進む日本において、今後の医療需要・介護需要は、緩やかに減少に転じるタイミングが見えてきた。人口30万人強のA市を例に、人口推移と医療介護需要推移を見た=グラフ2=。直近は回復期・慢性期医療需要や介護需要が増加している。一方、高度急性期・急性期需要については数値上大きな変化がないものの、徐々に減少していくことが想定される。
■体感しづらい需要変化
しかし、この変化が実際の現場感と一致するかどうかは難しい。その理由は3つある。
【需要変化を体感しづらい3つの理由】
1. ゆっくりとした変化であるため
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次回配信は10月18日5:00を予定しています
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