岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の戦略方針がまとまり、2024年度からの3年間に集中して取り組む「加速化プラン」の財源確保を巡る政府内の議論が年末にかけて本格化する。政府は、社会保障などの歳出改革を徹底して財源を捻出する方針。診療報酬と介護報酬の同時改定を24年度に控え、医療費など社会保障費が削減されることへの警戒感が医療界に広がっている。関係者のこれまでの発言をまとめた。【兼松昭夫】
■消費増税での対応を封印
政府が13日に決定した「こども未来戦略方針」は、
▽少子化政策の基本的考え方
▽加速化プランの具体策
▽安定財源の確保
-が柱。
具体策の目玉は児童手当の見直しで、所得制限を撤廃し、支給期間を3年間延長する。さらに、第3子以降の支給額は3万円に増やすとしている。医療関連では、出産費用への保険適用を検討する。岸田文雄首相は13日の記者会見で、出産費用の見える化を進め、多様なサービスを選べる環境を整えながら、「26年度からの出産費用の保険適用などを進める」と述べた。
加速化プランの予算規模には年3兆円台半ばを想定している。そのための財源確保が最大の焦点だ。年末の24年度政府予算案の編成過程で決着する。
政府は、消費税を含む新たな税負担は「考えない」と増税での対応を封印した。その代わり、社会保障などの歳出改革の徹底や既存予算の活用などにまず取り組む方針を打ち出した。それによる不足分の財源を新たな支援金で賄い、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す。
社会保障の制度改革や歳出の見直しを確実に進めるため、戦略方針では、改革工程表を作る方向性を打ち出した。
■加藤厚労相「報酬の大幅増が必要」
診療報酬と介護報酬の同時改定を24年度に控え、
(残り939字 / 全1661字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】