岸田政権が掲げる医療分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)がこれから本格化する。医療DXは、電子カルテ情報の標準化等、全国医療情報プラットフォームの創設、診療報酬改定DXの3つが柱で、それらの施策の具体化などを担当する厚生労働省医政局の田中彰子参事官(特定医薬品開発支援・医療情報担当)によると、「かなりのスピードで進むはず」だという。医療DXは医療現場に何をもたらすのか。【兼松昭夫】
■「電子カルテ情報交換サービス」整備へ
-医療DXの3本柱のうち、電子カルテ情報の標準化はこれからどのように進めるのでしょうか。
田中参事官 2022年3月には、診療情報提供書・退院時サマリー・健診結果報告書(3文書)と、傷病名・アレルギー・感染症・薬剤禁忌・処方・救急や生活習慣病関連などの検査の情報(6情報)を「厚生労働省標準規格」としてまず定めました。
医療現場のニーズが高い文書や情報から標準規格化を進めるのが基本スタンスで、医療機関と医療機関、医療機関と患者さん、医療機関と学会などがそれぞれどのような情報を共有する必要があるか、洗い出しを進めています。
22年度の厚生労働行政推進調査事業では、透析情報などの標準規格化に取り組んでいます。例えば週に何回、1回当たりどれだけの時間をかけて患者さんが透析を受けているのか、その時にどのような透析液を使い、どんな薬剤を服用しているかなどの情報を共有できるようにすれば災害時などに役立つでしょう。
それとは別の研究事業で、救急搬送の際や災害の発生時に電子カルテのどのような情報を共有すべきなのかも見極めます。それらの情報を標準規格として採択するまでには幾つかのプロセスを踏む必要があり、順次広げていきます。
電子カルテの一部の情報を患者さん自身がマイナポータルで閲覧し、患者さんの同意の下で全国の医療機関でも必要な情報を共有できる「電子カルテ情報交換サービス」(仮称)の整備を目指します。22年11月には、
(残り1374字 / 全2194字)
インタビューの下は、3月1日(水)に配信する予定です
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】