最新のデジタルテクノロジーを活用して、業務プロセスや医療サービスを変革する医療DXに取り組む医療機関や地域が増えつつある。医療現場や患者への医療提供で、どのような変化が起きているのか。新たな価値の創生につながる医療DXの真の狙いを探る。【新井哉】
■「バーチャル病院」構築で対面診療と同等の質を提供
医療機関や医療従事者、患者が、データやデジタル技術を活用して、現場や患者のニーズを基に、組織やプロセスだけでなく、医療機関の文化や風土も変革し、患者により良質な医療を提供することが、医療DXの狙いと言えよう。この恩恵を最も受け、実際に医療DXが進んでいると考えられるのが、離島や中山間部、へき地など、都市部と比べて医療資源が少ない地域や、患者情報の収集が難しい救急医療の現場だ。
なぜ離島で医療DXを推進する必要があるのか。それは、離島では医師が常駐していなかったり、常駐していても専門外の疾病を診療する体制が整っていなかったりするケースが少なくないからだ。医師や看護師が常駐していない離島では、定期的に大学病院や規模の大きな病院などが医師らを派遣する巡回診療が行われているが、悪天候が続いたりして患者が適切な医療を受けられなかったり、船での搬送時に医師の付き添いがなかったりするなど、離島の患者への医療提供が十分行われているとは言い難い状況だ。
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