「かかりつけ医機能」を発揮するための制度を整備する政府の方針を受けて、関係省庁や医療団体が11月に入り独自案を相次ぎ打ち出している。日常的な病気の治療や患者の健康相談などに対応し、高度な医療を提供する医療機関に必要に応じて紹介する仕組みなどに共通点がある印象だが、法律上の位置付けを巡る主張には隔たりが目立つ。これまでに出ている5つの提言を整理した。【兼松昭夫】
■登録制「やめたわけではない」財務省
まず財務省案から。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財政制度分科会が7日に開いた会合で、同省は、効果的で効率的に医療を提供する体制の実現を医療制度改革の「最重要課題」に位置付けた。
2040年ごろにかけて都市部を中心に高齢者が増えて医療や介護への需要が高まるのに、医療人材の確保は人口減少の影響で先細りになるためだ。財務省は、限られた役割分担を徹底させて医療資源を有効活用するには外来医療の機能分担も不可避で、「かかりつけ医機能」の発揮を促す必要があると指摘した。
「かかりつけ医機能」の具体的な内容には、▽回復期病床の延長線上で、患者を継続的に観察▽患者に身近な地域である程度の診療を行い、必要に応じて急性期病院に紹介▽介護関係者と連携して継続的・横断的に診療を提供-などを列挙。中高年の状態に合わせて医療を提供するため、休日・夜間を問わず健康相談に対応することも提案した。それらの担い手としては診療所や中小病院を想定している=図1=。
財務省は、「かかりつけ医機能」を明確化・法制化する必要性を改めて主張したが、これまでに比べて
(残り2697字 / 全3361字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】