医師の時間外労働の上限が罰則付きで規制され始める2024年4月まで1年半を切った。全国の病院にとっては、勤務医の労務管理や業務改善を徹底できるかどうかが重要な課題になる。ただ国は、勤務先の病院だけでなく、患者を含む地域全体で医師の労働時間の短縮に取り組む必要性を強調し始めている。医師の働き方改革は何を目指すのか。【兼松昭夫】
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医師の時間外労働は、1年5カ月後の24年4月以降、原則として年960時間に罰則付きで規制される。
ただ、医師の働き方改革と地域医療の確保を両立させるため、国は救急など地域に不可欠な医療機能の業務に従事する医師の時間外労働の上限を年1,860時間に緩和する「地域医療暫定特例水準」を作った。36年3月末の終了を目指すとしている。
長時間労働の医師がいる救急病院などにとっては、この特例水準の適用先として都道府県の指定を受けることが当面の課題となる。そのためには、対象の医師の労働時間短縮計画を作って「医療機関勤務環境評価センター」の評価をクリアした上で、都道府県に指定申請を行う必要がある。
受審の申し込みは10月31日に始まった。評価センターによると、受審を申し込んでから結果が出るまでには手続きが順調に進んだとしてもおおむね4カ月程度かかるという。計画に「改善が必要」と判断されたら評価の手続きが中断され、さらに時間がかかってしまうため、早めの対応が必要だ。
厚労省は、24年4月に間に合うように適用を受けるには時短計画への評価を遅くても23年度の早い段階には受ける必要があるとみている。
■突如浮上した「三位一体構想」
医師の働き方改革の議論は、政府の「働き方改革実現会議」が17年3月に決定した働き方改革実行計画をきっかけに始まった。
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