【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■地域包括ケアシステムの要である病棟のニーズはまだまだ伸びる
全国ほぼ例外なく高齢化が進む中で、サブアキュート・ポストアキュートのニーズは確実に高まっている。2004年度の診療報酬改定で「急性期治療を経過した患者、在宅・介護施設等からの患者であって症状の急性増悪した患者等に対して、在宅復帰支援機能を有し、効率的かつ密度の高い医療を提供する」ことを目的に亜急性期入院医療管理料が新設された。その10年後、14年度の診療報酬改定で「急性期後の受入をはじめとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められている」ことから亜急性期入院医療管理料に替わり地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料が新設された。
亜急性期入院医療管理料は病室単位ゆえに1万床程度の算定数であったが、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の届出病床数は増加が続いている=資料1=。21年12月1日現在で9万8,000床を超えており、10万床を超えるのは時間の問題だ=グラフ1=。
資料1 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料の届出病床数推移
中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会(21年7月8日開催) 資料より引用
(厚労省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000840712.pdf)
グラフ1 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料 (上)届出病床数 (中)人口10万人当たり届出病床数 (下)75歳以上人口10万人当たり届出病床数
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(東北・関東信越厚生局:21年12月1日、その他厚生局:22年1月1日現在)、総務省統計局人口推計(20年10月1日現在)を基に作成
地域別に見ると、北信越や中四国・九州は人口当たりの病床数が多い。なお、地域包括ケア病棟の対象は高齢者が大半のため、75歳以上人口当たりの病床数でも比較してみたが、地域の偏りは同様であった。また、75歳以上人口当たりの病床数と都道府県別の病床稼働率の関係を見たが、病床数の多い地域で稼働率が低下しているとか、病床数の少ない地域で稼働率が高いなどの明確な傾向は見受けられなかった=グラフ2=。そのため、ある程度病床の多い地域においても、完全に供給過多になっているとは言えないと考えられる。むしろ沖縄のように極端に稼働率が高い地域は、地ケア病床の不足感があるのではないだろうか。
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次回配信は2月22日5:00を予定しています
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