厚生労働省は12日、回復期リハビリテーション病棟入院料の対象に2022年度の診療報酬改定で心疾患を追加することを中央社会保険医療協議会に提案した。心臓リハビリテーションが必要な心不全や急性心筋梗塞の入院患者が増えているのに、この入院料の対象とされておらず、リハを行うのが難しいため。ただ、心臓リハを行う循環器の医師を回復期リハ病棟に配置することの難しさを指摘する声もある。【兼松昭夫】
「回復期リハビリテーションを要する状態」には現在、「股関節・膝関節の置換術後」など5つがあり、回復期リハ病棟入院料を算定できる日数の上限がそれぞれ設定されている。22年度の診療報酬改定でそれを見直し、入院患者に心臓リハを行えるようにできないか検討する。
厚労省によると、心不全による入院や急性心筋梗塞、急性大動脈解離の患者や心臓手術の実施件数は10年代半ばから19年にかけていずれも年々増えている。中でも、心不全で入院した人は、19年に28万9,599人と30万人に迫っている。心大血管疾患リハの新規患者は15-19年に65%増えた。
また、20年度報酬改定の影響を検証するため、中医協の「入院医療等の調査・評価分科会」が行った調査では、心臓リハの実施を評価する「心大血管疾患リハビリテーション料」を届け出済みの回復期リハ病棟が入院料1から入院料6の全てにあることが分かり、対応を検討することになった。
ただ、分科会には、回復期リハ病棟入院料で心臓リハを行えるよう見直しを求める意見だけでなく、医師の配置の難しさを指摘する声もある。
心大血管疾患リハ料の算定には、循環器内科医か心臓血管外科医の配置が必要だが、分科会の井川誠一郎委員(日本慢性期医療協会常任理事)は、「心臓血管外科医は回リハにいると自動的に専門医ではなくなる」などと指摘した。
診療側の島弘志委員(日本病院会副会長)は12日の総会で、
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