厚生労働省の「第8次医療計画等に関する検討会」は5日、新型コロナウイルスの感染拡大への対応を2自治体と2団体からヒアリングした。大阪府の藤井睦子健康医療部長はその中で、現行法に基づく病床確保の要請には限界があると指摘し、病床や医療従事者を確保して新興感染症に対応できるようにするため、非常事態の際に一定の強制力を持つ法整備を提案した。【松村秀士、兼松昭夫】
藤井氏は、「新型コロナの病状の経過が比較的緩やかだったから、何とか対応してきた」と述べ、症状の経過が速い感染症の拡大に対応するには、強制力を伴う法整備は不可欠だとの認識を示した。ただ、「医療機関や医療従事者の納得と合意なしに医療の提供は行えない」と語り、医療従事者と十分に情報共有し、話し合うことが前提だとも強調した。
第8次医療計画の運用が始まる2024年4月に向けて、検討会がヒアリングを行うのはこれが2回目で、福井県、日本看護協会、日本赤十字社も参加した。厚労省は、新型コロナなど新興感染症に関する医療計画への記載内容を具体化する上で参考にする。
大阪府では、新型コロナが拡大し始めた20年1月以降、重症者用の病床を段階的に増やしたが、翌21年3月からの第4波では、高齢者だけでなく40-50歳代の重症者が急増し、一時は病床の使用率が100%を超えた。そのため重症者の一部を軽症-中等症の病床で受け入れ、治療を継続させたという。
感染者の受け入れは当初、自治体立や公的病院、大学病院が中心だったが、第3波(20年10月10日-21年2月28日)以降は民間病院の受け入れが増えた。第5波(21年6月21日-)では、「災害級非常事態」として重症者用病床を605床確保する一方、高齢者の新規感染が減少し、使用率を5割程度に抑え込んだ。
ただ、府内ではこれまでに3,000人以上が新型コロナで亡くなり、ほぼ半数を第4波が占めるという。藤井氏は「このお一方、お二方が入る病床をどうしようかと苦難の毎日だった」と第4波を振り返った。
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