厚生労働省は2日に開催した「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」で、ガイドラインを策定して解消を目指している一次売差マイナスが、2019年度、20年度と2年連続で拡大したことを明らかにした。製薬団体は、高度で専門性の高い医薬品の売上割合が増加していること、また、毎年改定となって薬価が継続して低下することと併せて、卸への販売価格である仕切価率が上がっていると説明した。厚労省は、ガイドラインを見直して改善を目指す方針を示したが、実態としては、縮小の方向すら見えない。【ライター 設楽幸雄】
一次売差マイナスは、医療用医薬品の卸から医療機関、薬局への納入価格が、卸がメーカーから仕入れる際のメーカー仕切価格よりも低く、逆ザヤ状態になっていることを指している。卸は、赤字で医療機関や薬局に医薬品を納入していることになる。
ただし、それでは卸経営は成り立たないため、メーカーは個々の医薬品ごとに割戻し(リベート)やアローアンスを設定して、卸に支払っており、結果として、卸は最終的に一定の利益を確保できている。
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