【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
4月から運用が始まった科学的介護情報システム(LIFE)への最初の情報提出期限である5月10日を前にして、厚生労働省が4月23日、「科学的介護情報システム(LIFE)に係る対応等について」と題する事務連絡を発出した。それまで情報提出の猶予期間を設けていなかった全ての加算についても、8月10日までの猶予を設けるという内容だ。
この事務連絡で情報提出の猶予が同日までとされた加算の中には、これまでその期間が設けられていた「科学的介護推進体制加算」など4つの加算も含まれていたため、以前に示された猶予が取り消され、全ての加算の猶予期間が一律で同日までになったのかと疑問を抱く人がいるようだ。しかし、以前の事務連絡の内容が取り消されたわけではなく、「猶予期間は理由に応じて、どちらかの期間を適用することができる」と考えるべきだ。
そもそも、4月23日付の事務連絡で全ての加算に設けた猶予期間は、4-6月のサービス提供分までのデータ提出についてのみであり、厚労省が3月16日に出した通知「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」で、猶予期間が設定されている4つの加算には、2021年度末までのサービス提供分の情報提出の猶予が設けられているという違いがある。
加えて、4月23日付の事務連絡で、情報提出の猶予が8月10日まで設けられるのは、次の2つの条件のいずれかに該当しなければならないとしている。
(1)4月にLIFEに関連する加算を算定できるよう、これまで事務連絡などで示していた期限までに新規利用の申請をしたにもかかわらず、その申請に係るはがきの発送が遅延している場合
(2)同月にLIFEに関連する加算を算定できるよう、操作マニュアルなどのウェブサイトを確認し、LIFEの導入などについてヘルプデスクへ問い合わせを行っているが、回答がなかったり、解決に至らなかったりしたことにより、期限までにデータ提出が間に合わない場合
このように、はがきの発送が遅れている場合と、ヘルプデスクに問い合わせたものの回答がなかったり、解決に至らなかったりした場合のどちらかに当てはまらないと、8月10日までの猶予が与えられないことに注意する必要がある。
それにしても、LIFEにはあまりにも多くの不具合が生じている。この新たなシステムを拙速に作り上げた付けが回ってきたのではないだろうか-。国はそれを認めていないが、重大なシステムエラーが起きているのは間違いない。
■現状は機能不全
(残り2443字 / 全3523字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】