マイナンバーカードを健康保険証として利用する「オンライン資格確認システム」について、厚生労働省は26日、3月下旬に予定していた本格運用の開始を、最長で10月まで延期することを社会保障審議会・医療保険部会で明らかにした。試行運用で個人番号の誤りなどが見つかったことにより、システムの安定性やデータの正確性を担保するための対応が必要だと判断した。一方、顔認証付きカードリーダーを3月末までに申し込んだ医療機関や薬局に対し、システム改修費を一定額まで全額補助する特例措置に関しては延長しない方針だ。【松村秀士】
同省は、オンライン資格確認システムのプレ運用を4日に開始したが、その中でさまざまな問題が判明した。例えば、医療機関や薬局側では、コロナ禍の影響でシステム改修が遅れていたり、半導体不足によってパソコンが調達できなかったりするなど、導入の準備が進んでいない状況だ。
また、プレ運用の参加施設では、加入者情報の不備による資格確認エラーや、院内システムへの情報の読み取りのエラーが発生。保険者側でも、データの登録や確認・修正作業が遅れているほか、登録した個人番号の誤りがあった。被保険者証の情報が登録されていなかったり、被保険者番号が正確でなかったりするといった問題も見つかった。
こうした現状や課題を踏まえ、同省は部会で、システムの安定性やデータの正確性を担保するため、プレ運用を継続した上で、「遅くとも薬剤情報の閲覧開始を予定している10月までに本格運用を開始する」との方針を示した。また、本格スタートまでの間、個人番号の誤入力をシステム的にチェックする機能を導入。並行して、実際の運用を行いながらデータを検証し、その精度を高めるように努める。
■個人番号の誤りを3月中に修正へ
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